2024年秋号表紙

Sustainable Plastics Initiative (SusPla)

 

-品質向上・安定供給に資するマテリアルリサイクルによる 再生プラスチック市場の拡大のために-

 

一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)

SusPla事務局次長  加藤 英仁

1.はじめに

 カーボンニュートラル実現に有効な手段として、「資源効率」の改善(デカップリング)による新たなビジネスモデルの創出を目指すサーキュラーエコノミー(資源循環型経済)への対応が世界的に注目されています。特に欧州においてはエコデザイン規則案の上程など製品分野における環境規制は段階的に強化される方向にあり、とりわけ2023年7月に提案されたELV規則案では新車生産に必要なプラスチックの25%以上を再生プラスチックにすることと明記され、我が国においても自動車関連産業を中心に再生プラスチック需要が急速に高まっています。
 なかでも、使用済み製品や生産工程から出る端材を回収し、製品の原材料として再利用する「マテリアルリサイクル」は、資源の循環利用や地球温暖化の原因となるGHG排出量の抑制にも寄与することからカーボンニュートラル対応の面からもその拡大が期待されています。
 現行、国内の全プラスチック廃棄物(約800万t強)のマテリアルリサイクル率は、約2割に留まり、また、そのうち国内での循環利用量はわずか50万t程度となっています。今後、旺盛な再生プラスチック需要に応えていくためには、品質の確保、安定供給、トレーサビリティの明確化等の諸課題に対して、経営基盤の大小や従来の商慣行を超えて動静脈連携しての対応が必要となっています。
 本 Sustainable Plastics Initiative(通称:SusPla)は、供給者側である再生プラスチック事業者が設立した「心臓産業の会」(需要者要求に応えうる動静脈連携型の再生プラスチック利用の拡大)メンバーが中心となって推進した「再生プラスチック資源価値創造プロジェクト」での成果をもとに、需給双方の対話の場を形成し、その活動を通じて社会全体での再生プラスチックの製品利用拡大を図り、もって、我が国が世界に誇るものづくり技術、製品の発展に寄与することを目的に本年7月16日に設立致しましたので、SusPla及びSPC認証制度について紹介致します。

2.SusPla設立の経緯

・2018年初夏 「心臓産業の会」発足

循環経済への移行が急速に求められる中で、資源循環を担う“ものづくり事業者”の存在が希薄であるという問題意識を共有。心臓産業でプラスチックの未来を考える会の始まり

・2020年8月 

「心臓産業の会」においてSuMPO(一般社団法人サステナブル経営推進機構)が事務局の役割

・2020年9月 

「心臓産業の会」動静脈連携により使用済プラスチックの再製品化実証事業スタート(ブランドオーナー、製品製造者、材料化・原料化事業者、産廃回収・処理事業者に加えバージン材メーカー参加)

・2023年3月 

再生プラスチック利用拡大を目的として、石塚化学産業㈱、いその㈱、㈱近江物産、㈱タイボー、SuMPOにて事業連携協定を締結

<再生プラスチック資源価値創造プロジェクト>推進

・2023年10月 

「Sustainable Plastics Certification(SPC)認証プログラム」とりまとめ発表

・2023年10月~ 

関係省庁、関連団体、需要者ヒアリング実施

・2024年3月~ 

SusPla設立準備委員会で設立準備実施

・2024年5月24日 

会員募集開始

・2024年7月16日 

SusPla設立総会開催

3.SusPla設立総会について

 SusPla 設立総会には総勢約 130 名が出席し、開催日時点の会員数である 67 会員のうち 58 会員が集まるなど高い期待感のなか開会を迎えました。
はじめに、発起人代表(SusPla 理事長)の石塚勝一(石塚化学産業株式会社代表取締役会長)が挨拶を行い、SusPla 設立にいたるまでの再生メーカー4社(石塚化学産業株式会社、いその株式会社、株式会社近江物産、株式会社タイボー)によるこれまでの取り組みに触れるとともに、再生プラスチック市場の健全な発展、そして 2030 年 再生プラスチック利用倍増への寄与を目指すべく、SusPla としての決意を表しました。また、来賓として、経済産業省 イノベーション・環境局 GXグループ 資源循環経済課 課長 田中将吾氏、経済産業省 製造産業局 素材産業課 課長 土屋博史氏、環境省 環境再生・資源循環局 総務課 容器包装・プラスチック資源循環室 室長 井上雄祐氏よりご挨拶を賜りました。その後、第 1 号議案 定款案、第 2 号議案 理事の選任、第 3 号議案 2024 年度の事業計画および収支予算に関する議案審議を行い、すべて可決となりました。最後に、報告事項として SusPla 会員紹介を事務局より行いました。

4.活動内容(案)

活動内容については、現在、会員に「SusPla事業企画アンケート」を実施中であり、この結果を踏まえて詳細決定しますが、以下の4点を中心に活動していく予定です。

  1. 再生プラスチックの品質確保、安定供給に資するSPC認証制度の普及、推進、社会実装
  2. 環境性能指標(CN政策に合致する製品環境指標)の検討、開発
  3. 動静脈連携の課題解決および推進
  4.  社会全体への理解促進

5.SPC認証制度について

 SusPla設立準備会が中心となって開発検討が進められてきたもので、今後公正な機関において制度化が見込まれる新たな認証制度です。再生プラスチックに関するエンドユーザーの理解を促進し、再生プラスチック需要者の適正評価と使用量拡大につなげるため、需要者側が安心かつ安定して使える再生プラスチックのマテリアルリサイクルシステムを第三者が認証する制度です。

 事業所単位もしくは工場単位で認証の取得が可能で、SPC認証制度の運営体制を下記に示すとおり、中立性・第三者性確保のため、運営はSusPla組織ではなくSuMPO組織で運営することにしています。

6.終わりに

 会員数67でスタートしたSusPlaですが、すでに90を超える皆様の参画をいただいております。日本にプラスチック資源循環を根付かせるためには、より多くの皆様の参画が必要です。本会の活動目的、活動の主旨に賛同し、自らプラスチック資源循環に貢献しようとする事業者様、団体様の参画をお待ちしております。

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