PCB等処理推進業務
(1)PCB問題の経緯
PCB は熱的・化学的に極めて安定であり、また電気絶縁性にも優れていることから、熱媒体や潤滑油、変圧器、コンデンサー等の電気機器の絶縁油として広く活用されてまいりました。しかしながら、PCBはその安定性ゆえに分解されにくく、脂溶性を有するため、一度環境中に放出されると地球規模で長距離を移動し、野生生物の体内に取り込まれて有害な影響を及ぼすなど、広範な環境汚染が深刻化しております。
国内におきましては、昭和43年にPCB由来のカネミ油症事件が発生し、その毒性が社会問題となりました。これを受け、昭和40年代後半よりPCBの製造・輸入・使用は原則として禁止されることとなりました。
(2)PCB廃棄物対策の経緯と現状
回収されたPCB廃棄物につきましては、一部において液状PCBの高温熱分解方式による処理が試みられたものの、十分な処理施設の整備には至らず、実に30年もの長期間にわたり保管が継続されてまいりました。その間、保管中のPCB廃棄物については漏洩や紛失等の事例も報告されるなど、迅速な処理体制の確立が強く求められる状況となりました。こうした背景を踏まえ、環境省は平成13年7月に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)」を制定し、国が主導して適切な処理を推進する体制を整えました。その後、同法に基づき「PCB廃棄物処理基本計画」が策定され、全国5か所に拠点的な広域処理施設が整備された結果、国策会社である中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)により、計画的かつ着実に処理が進められてまいりました。
一方、PCB特措法の施行翌年には、本来PCBが使用されていないはずの電気機器においても、実際には基準値を超えるPCBが含有されているものが約160万台存在することが明らかとなりました。環境省では、この膨大な数に鑑み、従来の都道府県知事による処分業許可に加え、廃棄物処理法に基づく無害化処理認定制度(大臣認定制度)を導入し、民間の産業廃棄物処理施設の活用を推進してまいりました。その結果、令和8年2月末現在、31事業者が認定を受け、都道府県知事等の許可を取得した2事業者を加え、計33事業者により処理が着実に進行しております。
(3)改正PCB特措法の制定
環境省におきましては、「PCB特措法」施行から十年が経過したことを受け、平成23年10月に有識者による「PCB廃棄物適正処理推進に関する検討委員会」を設置し、PCB廃棄物の処理状況の把握および今後の施策の検討を着実に進めてまいりました。その審議結果を踏まえ、処理完了期限は当初の平成28年7月から(平成26年のPCB特措法施行令の改正により)令和9年3月31日に変更され、平成26年6月には、一日でも早い処理完了を目指し、JESCOが運営する全国5か所の処理施設の立地地域ごとに、平成30年度末から令和5年度末までの計画的処理完了期限が設定されることとなりました(その後、平成26年のPCB特措法施行令の改正により 計画的処理完了期限は令和8年3月31日に期限延長措置となっております)。
平成28年5月2日には、計画的にPCB廃棄物の処理を完了させるため、政府が一丸となって改正PCB特措法を成立・公布し、その後、同年7月26日には、処理完了期限の1年前までを処分期間とするPCB廃棄物処理基本計画の変更が閣議決定されました。期限が延長された場合でも、期限内の確実な処理が求められるため、改正PCB特措法の政令が改正され、8月1日から高濃度PCB廃棄物の処分義務の明確化、報告徴収や立ち入り調査の権限強化、行政による執行規定の整備などが盛り込まれ、規制と執行体制が大きく強化されました。
このように、PCB廃棄物を扱う際には、PCB特措法に基づいて、都道府県や政令市など管轄自治体への届け出が義務付けられています。PCB廃棄物は決められた期間内に必ず処分しなければならず、手続きが行われない場合は行政から改善命令や罰則を受けることがありますので、十分ご留意賜りますようお願い致します。
(4)当財団の取組
当財団は、設立以来、国のPCB処理施策に全面的に協力してまいりました。これまで、PCB処理技術の評価、ガイドラインの策定、保管場所からの安全な搬出技術の検討、JESCOにおける処理困難なPCB廃棄物の処理方策の検討、無害化処理認定における審査支援、保管事業者向けの各種調査・助言など、幅広い業務に誠心誠意取り組んでおります。
今後も、関係機関や事業者の皆様と連携しつつ、より安全かつ確実な PCB 廃棄物処理の推進に努め、環境保全と社会の安心に貢献してまいります。
また、当財団では、石綿廃棄物の処理についても環境省による無害化処理認定に係る審査業務等に協力しています。


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