循環経済(サーキュラーエコノミー)の実現に向けて社会に貢献
公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団
理事長 寺田正人
さて、私どもの産廃振興財団は設立以来、産業廃棄物処理業界の育成と振興、そして産業廃棄物そのものの適正処理や資源循環に資する様々な事業に取り組んでまいりました。関係する皆様のご尽力により、お陰様で各事業ともに概ね順調に進み、当初の計画に対して目処が見えてきた状況に至っております。
一方で、世界の状況を見ますと、気候変動や資源の枯渇問題に代表されるように地球の再生能力は限界に達しつつあり、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄に依存した経済システムが立ち行かなくなるという問題意識から、脱炭素化・循環経済へのパラダイムシフトに向けた社会的要請が急速に高まっております。特にEUでは2015年に循環経済パッケージが公表され、サーキュラーエコノミーを成長戦略として位置付け、その実現に向けた取り組みが加速化しております。加えて、EUの政策を受けて各国も競うようにサーキュラーエコノミー戦略を策定しており、それに呼応して企業サイドもサーキュラーなビジネスモデルへの移行やサーキュラーな製品の開発を推進するなど、世の中は今まさに大きく動いている状況と認識しております。
日本でも2020年に「循環経済ビジョン2020」が取り纏められ、2021年には経団連と環境省、経済産業省との官民連携による「循環経済パートナーシップ(J4CE)」が設立され、サーキュラーエコノミーの促進を目指したプラットフォームがスタートしております。こうした取り組みが起点となって、ゆくゆくは動脈と静脈が連携するバリューチェーン構築に繋がって行くものと大いに期待されているところであります。
こうした世の中の潮流を踏まえ、廃棄物処理業界は従来通りの適正処理や、限定的なリサイクル業に留まっている訳にはいきません。サーキュラーエコノミーの実現に向けて廃棄物を再資源化・エネルギー化し、それらを動脈産業に有効な資源として提供していくリソーシング産業に生まれ変わっていく必要があります。今般成立した再資源化事業等高度化法は、まさにこのような動きを制度面で後押しするために制定されたものと認識しています。
私ども産廃振興財団と致しましても、我々に課せられた新たなミッションとして、これまでの“産業廃棄物適正処理の推進役”から“資源循環による循環経済の先導役”へと変身を遂げ、サーキュラーエコノミーの実現に向けた中核的な役割を果たしていきたいと考えております。特に、動静脈が連携できる仕組み作りにおいては、当財団がこれまでに蓄積してきた強みが発揮できる仕事と捉えており、この分野でリーダーシップを発揮できるよう果敢に挑戦していきたいと考えております。
時代が大きく変わりつつある中、時代の要請に応えて当財団が果たすべき役割を見極め、社会に貢献できるよう職員一同気持ちを新たに全力を尽くして参ります。
関係者の皆様の一層のご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。