第19期 産業廃棄物処理業経営塾 開塾のご挨拶

産業廃棄物処理業経営塾 塾長 田中 勝 (岡山大学 名誉教授) 産業廃棄物処理業経営塾 塾長 田中 勝 (岡山大学 名誉教授)

 2004年から毎年開塾していた産業廃棄物処理業経営塾が、2019年末からの新型コロナウィルス感染者の爆発的な増加の影響を受け、2020年度は開塾出来ませんでした。しかし、2021年度から感染拡大防止に最大限努めつつ開塾しています。
 2022年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻して、77年間続いた戦争の無い平和な地球が戦争状態になり、毎日武力攻撃で人が殺され大量の戦争廃棄物が発生している状況をTV報道で見る状況が続いています。ウクライナやロシアからの食料や燃料の供給が一時的に断たれ、エネルギー危機や食料危機がもたらされました。
 この様なエネルギー供給の不安から石炭等化石燃料の消費量が増加しています。日本は「脱炭素社会へ向けた基本方針」で原子力発電所の建て替えと原子力発電所の運転期間の延長という政策転換でエネルギー問題と気候変動の問題の解決が現実味を増してきました。

 

経営塾では産業廃棄物処理業界に『社会の潮流を読み、将来の実行可能な事業企画案を書き、企業の競争力を高める成長戦略』という読み、書き、そろばんが出来る人材を育てることが出来ればと願っています。「読む」という意味には、日本語や外国語で読めるということもありますが、自分の気持ちを発信する力も重要です。次に「書く」ですが、企業の将来ビジョンを描き、それを達成するシナリオを「書く」ことが経営者にとっては重要です。「そろばん」は、多くの選択肢から何を選択すれば企業の競争力を高め成長することが出来るかを判断する能力です。経済的な側面だけでなく、社会の信頼を確保するための判断が出来ることがますます重要になってきたと思われます。このように企業人として人間力を兼ね備えた「読み、書き、そろばん」の能力を高めていただきたいと思います。

 

国連は持続可能な開発目標SDGsを掲げて、世界の国々や企業、個人に取り組みを求めています。皆の努力で世界は平和な社会、豊かな社会になるでしょう。その結果、世界の人口は増加し経済成長とともに人々の購買力は向上し、社会でより多くのモノが生産・消費され廃棄物の増加が見込まれます。廃棄物工学研究所の推計予測では世界の廃棄物排出量は2020年には140億トン/年が2050年には320億トン/年となりました。廃棄物処理業界により、これらが回収され、リサイクルや処理処分がされます。一方、限られた資源や環境容量を持っている地球の存続のために、私たちの豊かな生活を維持しながら資源を大切に、環境を大切にする社会、すなわち循環型社会の構築が求められており、それには廃棄物分野の高い技術やノウハウを生かした戦略的なマネジメントが求められています。

 

廃棄物処理業界におられる皆さんは、世界が求めている循環型社会の構築に貢献することができるのです。このように重要な廃棄物処理業界で活躍できることを誇り(Pride)に思い、欧米の企業に負けない一流の企業に成長することを夢(Dream)見て、又廃棄物処理は私たちの責任でやり遂げるという使命感(Mission)を持ってもらいたいと思います。この誇り、夢、使命感のPDMを大切にしてください。PDMを常に心に抱けるように経営塾で学んで欲しいと思います。

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