第20期 産業廃棄物処理業経営塾 開塾のご挨拶

産業廃棄物処理業経営塾 塾長 田中 勝 (岡山大学 名誉教授  公立鳥取環境大学 名誉教授) 産業廃棄物処理業経営塾 塾長 田中 勝 (岡山大学 名誉教授 公立鳥取環境大学 名誉教授)

 2004年から毎年開塾していた産業廃棄物処理業経営塾が2019年末からの新型コロナウィルス感染者の爆発的な増加の影響を受け、2020年度は開塾出来ませんでした。しかし2021年度から感染拡大防止に努めつつ開塾して産業廃棄物処理業の健全な発展に貢献しています。
 2022年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻し、2023年10月にイスラエルとイスラム組織ハマスが戦闘状態になり、77年間続いた戦争の無い平和な地球が戦争状態になり、武力攻撃で多くの人が殺され大量の戦争廃棄物が発生している状況が続いています。その影響で食料や燃料の供給が一時的に断たれエネルギー危機や食料危機がもたらされました。日本は原子力発電所の建て替えと運転期間の延長という政策転換でエネルギー問題と気候変動の問題の解決が現実味を増し、廃棄物からのエネルギー利用も益々重要になってきています。
 

経営塾では産業廃棄物処理業界に『社会の潮流を読み、将来の実行可能な事業企画案を書き、企業の競争力を高める成長戦略』という「読み、書き、そろばん」が出来る人材を育てることが出来ればと願っています。「読む」という意味には、日本語や外国語を読めるということもありますが、人の気持ちを読む力も重要です。次に「書く」ですが、企業の将来ビジョンを描き、それを達成するシナリオを「書く」ことが経営者にとっては重要です。「そろばん」は、多くの選択肢から何を選択すれば企業の競争力を高め成長することが出来るかを判断する能力です。経済的な側面だけでなく、社会の信頼を確保するための判断が出来ることがますます重要になってきたと思われます。このように企業人として人間力を兼ね備えた「読み、書き、そろばん」の能力を高めていただきたいと思います。

 

国連は持続可能な開発目標SDGsを掲げて、世界の国々や企業、個人に取り組みを求めています。皆の努力で世界は平和な社会、豊かな社会になるでしょう。その結果、世界の人口は増加し経済成長とともに人々の購買力は向上し、社会でより多くのモノが生産・消費され廃棄物の増加が見込まれます。廃棄物工学研究所の推計予測では世界の廃棄物排出量は2020年には140億トン/年が2050年には320億トン/年となります。廃棄物処理業界により、これらが回収され、リサイクル,焼却処理等中間処理や最終処分がされます。一方、限られた資源や環境容量を持っている地球の存続のために、私たちの豊かな生活を維持しながら資源を大切に、環境を大切にする社会、すなわち循環経済社会の構築が求められており、それには廃棄物分野の高い技術やノウハウを生かした戦略的なマネジメントが求められています。

 

廃棄物処理業界におられる皆さんは、世界が求めている循環経済社会の構築に貢献することができるのです。このように重要な廃棄物処理業界で活躍できることを誇り(Pride)に思い、欧米の企業に負けない一流の企業に成長することを夢(Dream)見て、また廃棄物処理は私たちの責任でやり遂げるという使命感(Mission)を持ってもらいたいと思います。この誇り、夢、使命感のPDMを大切にしてください。PDMを常に心に抱けるように経営塾で学んで欲しいと思います。

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