低濃度PCB廃棄物処理について

PCB特別措置法施行後の平成14年7月に本来PCBに使用していないとする電気機器等の中に基準値を超える微量のPCBに汚染された絶縁油を含むものが多数存在することが明らかになりました。これらは絶縁油が非意図的にPCBに汚染されたものであることから、「微量PCB汚染廃電気機器等」として区分され、またその存在量が膨大なことから、性能等を踏まえた既存の産業廃棄物処理施設等を活用するなどの新たな処理体制の構築を図ることが求められていました。

 

これらの処理体制の構築に向け、経済産業省と環境省により平成15年12月に設置された「低濃度PCB汚染物対策検討委員会」における検討を踏まえ、環境省では、平成19年2月に中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会に有識者で構成する「微量PCB混入廃重電機器の処理に関する専門委員会」を設置して、処分方法、収集運搬方法及び測定方法等の検討を行い、その結果は平成21年3月に「微量PCB混入廃重電機器等の処理方策について」とする提言に取りまとめられました。

 

この提言を受け、環境省では平成21年11月に廃棄物処理法施行規則の一部を改正する省令等の公布を行いました。処理の方法としては、従来の都道府県知事及び政令市の長による許可に加えて、環境大臣が個別に直接認定を行う無害化処理認定制度が適用されることになりました。

 

当財団では、環境省に協力し、平成18年3月から施設の産業廃棄物焼却施設において微量PCB汚染廃電気機器等の焼却実証試験を行ってきました。その後、比較的低濃度のPCBを含む廃活性炭や防護服などの汚染物も処理対象にして、平成26年度末までに全国14か所の施設で合計35回実施しています 。

 

また、無害化処理認定においては、認定を希望する事業者に対して、実証試験結果や生活環境影響予測の進め方に関する指導・助言を行うとともに、申請された書類の内容を確認、無害化処理認定に係る技術評価委員会の開催・運営などを通じて環境省による審査に協力しています。令和4年3月末現在、無害化処理認定を受けた者は全国で34事業者となっています。(環境省ホームページ

 

低濃度PCB廃棄物の処分期間はPCB特措法施行令第7条で令和9年3月31日までとされています。低濃度PCB使用製品のうち、特にPCBに汚染された絶縁油を含む電気機器等は使用中のものが相当数存在するうえ、銘板情報だけでは汚染有無の判別ができずPCB濃度の測定が必要となるといった課題があり、これまで所有者による期限内処分に向けた取組が十分とは言えない状況にありました。そのため、環境省及び経済産業省はこれまで実施してきた電気機器を所有する中小事業者等へのヒアリング調査結果等を踏まえ、PCBに汚染された電気機器等の調査方法等をわかりやすく説明した手引き(「低濃度PCBに汚染された電気機器等の早期確認のための調査方法及び適正処理に関する手引き」)を作成して令和4年3月に公表しました。


本手引きは、低濃度PCB汚染の有無等を早期に確認する必要性やその調査方法等を説明した本編及び詳細な調査方法等を取りまとめた技術者向け詳細版で構成されています。また、本編の内容をわかりやすく説明したパンフレットも作成して配布しています。

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