2024年夏号表紙

経済と環境-両立から一体化へ

公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団

                    常務理事 山越厚志

 このたび当財団の常務理事に就任致しました。何卒宜しくお願い致します。
 私事ながら1991年から94年まで経団連の産業政策部で地球環境問題を担当し、1992年に当財団が設立されるのを傍で拝察しておりましたので、今回の御縁には特別な思いがあり非常に感謝しております。
経団連の環境担当を離れてからは、3年を3度、計9年のワシントン駐在やASEAN諸国との経済交流、会長3代の秘書室長、財界広報、さらには経済広報センター常務理事(国際広報)などを経験し、当財団の活動については同僚出向者から時折伺うのみでしたが、設立準備の最終処分場視察に参加した時の熱意と本質的な問題意識は今も体に残っています。
 経団連が1991年に発表した経団連地球環境憲章は、政府はもとより環境NGOからも、産業界が地球環境問題に積極的に取り組むことを示す画期的なものとして評価されました。当時の環境庁、通産省、自治体の幹部・若手の皆様とも立場を踏まえつつも活発かつ率直に交流させて頂きながら、「経済と環境の両立」を目指し、環境基本法制定、日中環境協力さらには経団連自然保護基金の設立などに取組んだことを懐かしく思い出します。その後も産業界は、経団連環境自主行動計画のもとで着実な成果をあげています。
他方で非常に印象的だったのは、各社・各業界団体の環境担当として公害対策に取り組まれてきた方々の強い仲間意識で、様々な苦労話を伺いつつ公健法の被害者救済や公害対策財団の活動等に取組んだことで、環境問題の本質を考えながらその転機を実感致しました。
 廃棄物問題も環境問題の本質と考えており、最終処分場不足を契機に大きな課題となったごみ問題・廃棄物問題も3R(リデユース・リユース・リサイクル)の推進で成果をあげ、今まさにサーキュラー・エコノミー(CE)の形成という新たな転機を迎えています。CEは成長戦略にも位置付けられ、経済成長、国際競争力強化の観点からも重視されています。経団連は、CEをグリーントランスフォーメーション、および生物多様性・ネイチャーポジティブとともに三位一体で推進するとしており、経済システムそのものの大変革と位置付けています。いわば「経済と環境の一体化」であると考えます。
 これを達成するためには、いわゆる動脈産業と静脈産業の効果的な連携、産業共生が鍵となっており、循環型社会形成に貢献されてきた産業廃棄物処理業者の皆様を中心とする当財団のネットワークが重要な役割を果たすものと考えます。さらに、先の国会では再資源化事業等高度化法が成立し5月29日に公布されており、当財団が果たすべき役割への期待が益々高まるものと認識しております。
 まずは当財団の現状と課題についてしっかり勉強させて頂き、その上で、経団連・経済広報センターで得てきた知識、経験、ネットワークを生かし財団の発展に尽力する所存です。特に、当財団が果たしてきた役割や今後のビジョンなどについて積極的に広報していくことも重要と考えております。ご指導、ご支援、ご協力のほど何卒宜しくお願い致します。

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