2025年新春号表紙

財団業務のご紹介(バーゼル法事前相談業務)

~産業廃棄物処理事業振興財団の資源循環推進のための取組~

輸出入規制に関する事前相談

 再生資源などの貨物の輸出入を行なう際において、『特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律』(以下『バーゼル法』という)に規定の「特定有害廃棄物等」や『廃棄物の処理及び清掃に関する法律』(以下『廃棄物処理法』)に規定の「廃棄物」に該当する場合には、関税法の手続に加え、『外国為替及び外国貿易法』(『外為法』)に基づく経済産業省大臣の承認、環境大臣による確認等を受けなければならないことになっています。

 経済産業省では、税関申告前の輸出入予定貨物がバーゼル法に規定する特定有害廃棄物等に該当するか否かに関する相談事業を実施しており、当財団では同省から委託を受け、令和6年(2024年)4月から実施しています。

▼バーゼル法輸出入規制事前相談【経済産業省】
  https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/basel/jizen/soudan.html

 

<お問い合わせ先>
公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団
  バーゼル法事前相談担当まで下記メールアドレス宛てにご連絡ください
Eメール: basel@sanpainet.or.jp

 


 なお、「廃棄物」を輸出入する場合は、国内輸出入港の所在地を管轄する環境省の各地方環境事務所にて受け付けています。

 ▼廃棄物・特定有害廃棄物等の輸出入 事前相談のご案内【環境省】
 https://www.env.go.jp/recycle/yugai/jizen.html

業務の目的

 バーゼル法関連事前相談業務は、関係法令の理解や有害廃棄物等に関する知見に詳しくない方々の手助けになるように、輸出入を考えている事業者等から提出を受けた書類の記載情報をもとに、輸出入貨物がバーゼル法規制に該当するかどうかの判断がしやすいよう助言する支援を実施しています。
 (バーゼル事前相談は、法的な手続ではなく任意で利用するもので、輸出入貨物の関係法規適合性に関しては、あくまでも輸出者又は輸入者が税関に対し証明する必要があります。)

バーゼル事前相談業務の状況

 相談者から所定の相談書類の提出があった個別事案に対する確認作業以外にも輸出入品に関する一般的な質問ほか、規制情報、法改正にかかる変更点など問い合わせは多岐にわたります。
 近年における再生資源等の多様化により、それらの内容に応じた精査が求められるとともに、輸出入事業者等への制度周知、注意を要する輸出入貨物に関する情報提供など、できる限り分かりやすく案内することで、よりスムーズに輸出入事業活動を進めていただくためのサポート対応ができるよう事前相談業務の向上に取り組んでいます。

 

 主な相談対象となっている貨物は次のようなものです。
 

  • リサイクル目的のメタルスクラップ
    (鉄、アルミ、銅等の単体金属又はミックスメタル、プリント基板、他)
     
  • リサイクル目的のプラスチックスクラップ
    (ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、他)
     
  • リユース目的の電気・電子機器
     (中古冷蔵庫、テレビ、エアコン、洗濯機、パソコン、ハイブリッド自動車用バッテリー、他)

     

※バーゼル法において、規制対象となる「有害廃棄物」には、リユース目的のものはこれに該当せず、中古品貨物に関してはバーゼル法に基づく輸出承認を得る必要はありません。
 しかしながら、実際にはリユースに適さないものが中古品と偽って輸出され、特に発展途上国において部品や金属等が回収されている実態が問題になったことから、一部の中古品も事前相談の対象としています。
 ちなみに、中古品に関しては、専門家等の意見を国がとりまとめた『使用済み電気・電子機器の輸出時における中古品判断基準』が策定されており、リユース目的として適正なものか否かを客観的に確認でき、輸出者がその内容を証明しやすいよう一定の指針が示されています。

 

▼使用済み電気・電子機器の輸出時における中古品判断基準について(お知らせ)【環境省】

 https://www.env.go.jp/press/17151.html

〔参考資料〕

▼バーゼル条約・バーゼル法【経済産業省】

 https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/kankyokeiei/basel/index.html

バーゼル法成り立ちの経緯

 1970年代以降、欧米諸国を中心とした先進国から環境規制が緩かった開発途上国へ有害廃棄物の不適正輸出が多発していたため、国連環境計画(UNEP)と経済協力開発機構(OECD)は、この課題に対処すべく検討を行なった結果、1989年スイスのバーゼルで『有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約』(バーゼル条約)が採択されました。
 これにより、一定の廃棄物が国境を越え移動等するにあたっての国際的な枠組み及び手続等が規定され、その後1992年に発効しました。
 これを受け日本においても、同年、バーゼル条約の国内担保法の整備を進めバーゼル法を成立させ、翌年の1993年施行に至りました。所管は、環境省と経済産業省による共管となっています。
 バーゼル法の規定で規制対象物に該当した場合は、しかるべき手続を経た対応をしていなければ法令上の違反となるだけではなく、貿易相手国の環境被害を引き起こすなど、国際条約の不法輸出として国際問題に波及する恐れもあります。

引用:経済産業省ホームページ「バーゼル法輸出入規制事前相談(委託)」

               「バーゼル条約・バーゼル法の規制対象物、仕組み、手続き等」

   環境省ホームページ「廃棄物・特定有害廃棄物等の輸出入」

   環境省・経済産業省発行(2021年2月版)「廃棄物等の輸出入管理の概要」

PAGETOP