低濃度PCB廃棄物の適正処理に関する助成
1.はじめに
低濃度PCBに汚染された廃棄物は、令和9年(2027年)3月31日までに保管事業者で適正に処理を行うこととされています。環境省では、期限までの適正処理を加速するため、中小企業(個人事象主を含む。)に対する助成(分析費・処理費の一部の補助)の仕組みを創設し、産廃振興財団が、その事務を行うこととなりました。助成事業は、令和7年4月1日から開始されました。
2.低濃度PCB廃棄物の適正処理
PCB廃棄物は、PCB濃度により高濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物に分類されます。
高圧変圧器・コンデンサー等の高濃度PCB廃棄物は中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)で処理が行われています。
低濃度PCB廃棄物については環境大臣が認定する無害化処理認定施設及び都道府県知事等が許可する施設で処理が行われています。
表1 ⾼濃度PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物
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高濃度PCB廃棄物 | 低濃度PCB廃棄物 |
主な廃棄物 | ①高圧変圧器・コンデンサー等 ②安定器等 ③可燃性のPCB汚染物(100,000mg /kg超) ④不燃性のPCB汚染物(5,000mg /kg超) |
①微星のPCB に汚染された廃竜気機器等 ②可燃性のPCB汚染物等(100,000mg /kg以下) ③不燃性のPCB汚染物等(5,000mg /kg以下) |
処理先 | 中間貯蔵・環境安全事業(株) (JESCO) |
無害化処理認定施設 PCB に関する特別管理産業廃棄物処理の許可施設 |
http://pcb-soukishori.env.go.jp/about/pcb.html
低濃度PCB廃棄物の代表的なものには、微量PCB汚染廃電気機器等(柱上トランス、OFケーブル等)や橋梁等の塗膜、感圧複写紙、汚泥などが該当します。
低濃度PCB廃棄物の保管事業者は、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(及び同法の規定に基づく政令)により、「令和9年3月31日まで」の処分期間内に、「自ら処分し、又は処分を他人に委託しなければならない」とされています。
3.助成の対象者
助成対象者は、表2に示すとおりです。
表2 助成対象者
区分 | 備考 | |
中小企業者 | 会社(株式・有限・合資・合名・合同) | 資本金又は出資の総額、常時使用する従業員数等に関する条件あり |
個人事業主 | 常時使用する従業員数に関する条件あり | |
中小企業団体等 | 中小企業団体の組織に関する法律に規定する中小企業団体等 | |
法人(会社、中小企業団体等を除く) | 常時使用する従業員数に関する条件あり | |
個人 | 解散又は事業を廃止した事業者から軽減対象廃棄物を継承して保管している個人等 |
〔注〕詳細な条件は、当財団ホームページをご参照ください。
https://www.sanpainet.or.jp/joseikin/
4.助成の対象となる経費
助成対象経費は、表3に示すとおりです。
表3 助成対象経費
区分 | 助成対象経費 | |
分析 | PCB に汚染されているおそれのある電機機器に使用されている絶縁油が微量PCB 絶縁油であるかどうかを把握するために行う試料採取及び分析に要する経費 | |
処理 | 収集・運搬 |
収集・運搬(積込み・積下しを含む。)に要する経費 |
漏えい防止 |
漏えい防止措置に要する経費 |
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処分 |
処分に要する経費 |
5.助成金の額
助成対象経費の1/2の額(ただし助成限度額まで)が助成されます。
限度額については、表4に示すとおりです。
表4 助成の限度額
区分 | 限度額 | ||
分析 | 10,000 円/検体 | ||
処理 | 収集・運搬 | 低濃度PCB 汚染廃電気機器 | 192,500 円/台 |
小型機器•その他(ドラム缶) | 75,000 円/缶 | ||
小型機器•その他(ペール缶) | 73,500 円/缶 | ||
漏えい防止 | 50,000 円/台・式 | ||
処分 | 低濃度PCB 汚染廃電気機器 | 1,000 円/ kg | |
処分低濃度PCB含有油 | 200 円/ kg | ||
その他汚染物 | 900 円/ kg |
6.助成金の申請
(1)申請書の受付期間
令和7年度の申請期間は、令和7年4月1日から令和8年3月31日までです。ただし、予算の範囲を超えた日をもって申請書の受付を停止します。
(2)申請のフロー
申請のフローは、図1に示すとおりです。なお、助成金の申請は、分析や処理を実施する前に行ってください。
図1 申請フロー
7.問い合わせ先
公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団 低濃度PCB 助成金コールセンター
TEL:098-995-7100
受付時間 月~金 10 時~ 12 時/13 時~ 17 時(祝日年末年始を除く。)
なお、下記の協会事務局又は会員企業から、運搬方法、助成金申請等の相談が受けられます。
一般社団法人 日本 PCB 全量廃棄促進協会(JPTA)
〒101-0047 東京都千代田区内神田二丁目 11 番 6 号喜助内神田ビル7階
Tel : 03-6206-9552 FAX:03-6206-0534
E-mail:info@pcb.or.jp HP:http://www.pcb.or.jp
<参考>PCB廃棄物処理基金
この助成金は、公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団が、独立行政法人環境再生保全機構のPCB廃棄物処理基金からの助成を受けて行っているものです。