財団業務のご紹介(汚染土壌等適正処理事業)
1.はじめに
産業廃棄物の関係財団なのに、なぜ汚染土壌?
汚染土壌とは、「土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)」(以下、「土対法」という。)において、土壌の汚染状態に関する基準に適合しない土壌のことを言います。この汚染土壌は健全土との区別がつきにくく、不適正な処理による汚染拡散や健康被害が懸念されることから、汚染土壌を搬出する場合の事前届出の義務、運搬時の運搬基準遵守、処理においては都道府県知事等の許可を得た処理業者が処理基準に則り、浄化等の処理をすることなどが平成22年の土対法改正において制度化されました。
この制度は、産業廃棄物の適正処理によって不法投棄等を防止する「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)」(以下、「廃棄物処理法」という。)と同様の制度です。当財団では、不法投棄対策や当該事案の原状回復時に必要となる土壌汚染対策等の知見・技術を培ってきました。これらを活かし、汚染土壌の適正な運搬・処理に向けた取り組みを進めています。
今回、汚染土壌等適正処理事業のうち、「汚染土壌の処理等に関する検討調査業務」についてご紹介します。
2.汚染土壌の処理等に関する検討調査業務
当財団は、平成18年度より環境省から「汚染土壌の処理等に関する検討調査業務」を受託し、汚染土壌の搬出・処理に関する実態把握や適正処理の推進に向けた調査・検討等を行っています。また、汚染土壌を適正に運搬・処理するための普及啓発資料(ガイドライン等)の作成に向けた検討に携わっています。
上記業務の一環として、当財団が携わったガイドライン等は以下のとおりです。
- 汚染土壌の運搬に関するガイドライン(改訂第4.2版)
https://www.env.go.jp/content/000218372.pdf
- 汚染土壌の処理業に関するガイドライン(改訂第4.3版)
https://www.env.go.jp/content/000316944.pdf
- 汚染土壌処理業の許可審査等に関する技術的留意事項
https://www.env.go.jp/content/000210195.pdf
- 自然由来等土壌活用パンフレット
https://www.env.go.jp/content/000084413.pdf
- 電子管理票システムに関する手引きについて
https://www.env.go.jp/content/000209957.pdf
また、上記業務においては、汚染土壌に関する管理票の電子化(電子管理票)についての調査・検討の補助も行い、環境省はこうした調査・検討等を踏まえ、関係環境省令の改正し、令和6(2024)年4月1日から電子管理票の利用が可能になりました。
下記3では、この電子管理票について、ご紹介します。
3.電子管理票について
紙からデジタルへ、電子管理票が業務をもっとスマートに!!
土対法では、汚染土壌の適正な運搬・処理を確認することを目的として、汚染土壌を要措置区域等※1から区域外に搬出する際に管理票の交付等を行う義務があります。
管理票の流れは図1に示すとおりです。
※1 要措置区域等:土壌汚染状況調査の結果、基準不適合と判定された土地について、都道府県知事が指定した要措置区域、又は形質変更時用届出区域
図1 管理票の流れ(例)
出典:管理票のしくみ(環境省・公益財団法人日本環境協会)
従前の紙の管理票の運用には、以下のような問題点が指摘されていました。
- 記載、印字の作業負担が大きい
- データの保存や集計に手間がかかる
- 紛失、棄損等の問題が生じやすい
- 運搬・処理終了に係る管理票の郵送費等の負担が大きい
そこで、環境省は平成30年に「環境省e文書法規則」※2を改正し、管理票またはその写しを電子データで保存できるようにしました。さらに令和6年の改正により、保存に加えて、交付や回付等の一連の行為が電子管理票(電子データによる管理票)で行えるようになりました。
※2 環境省e文書法規則:環境省の所管する法令に係る民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則(平成17年環境省令第9号)
図2に示すとおり、電子管理票システムを利用することにより、電子管理票は電子データによる使用が可能となります。なお、システムについては搬出現場ごとに管理票交付者・運搬受託者・処理受託者の3者が合意のもと、民間事業者等が提供するシステムから選定し、利用することになります。
図2 電子管理票システムによる運用イメージ
出典:環境省HP「電子管理票について」、https://www.env.go.jp/content/000209955.pdf
電子管理票を利用することにより、以下のような効果が期待されます。
- 紛失防止、記録等の作業の効率化、各種データの集計・報告・分析等の利便性向上
- 各種データが関係行政機関へ提供されることによる汚染土壌の取扱いに関する透明性の確保・向上、行政機関における事務の効率化
- 土壌汚染対策における脱炭素化・省資源化等の推進に寄与
電子管理票の時代は、もう始まっています。
土対法の電子管理票は、すでに運用がスタートしました。これからは産業廃棄物の電子マニフェストと同じように、当たり前の仕組みになっていくことと思います。
作業の効率化と透明性の確保のためにも、電子管理票の活用が進むことを願っています。


