2026年新春号表紙

特別講演「金属スクラップヤード等対策について-金属スクラップヤード等規制条例の制定-」

[特別講演の概要は、以下のとおりです。掲載したパワーポイントのスライドは、講演等で使用されたものの中から抜粋したものです。]

(1)金属スクラップヤード等規制条例の概要

千葉県環境生活部ヤード・残土対策課<br>副課長 木村剛氏 千葉県環境生活部ヤード・残土対策課
副課長 木村剛氏

 千葉県では令和5年10月に「千葉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例(通称:金属スクラップヤード等規制条例)」を制定、令和6年4月に施行した。

 条例の主な目的は、有価で引き取った使用済の金属及びプラスチックの再資源化の適正な実施を図るため、県民の生活の安全を確保するとともに、県民の生活環境の保全上の支障の防止を図ることにある。

 条例施行にあたり、有価で引き取った使用済の金属やプラスチックなどを扱う金属スクラップヤード等(以下「ヤード」という。)として把握した全ての事業場を県職員が個別訪問し、通訳を同行するなどして丁寧な説明と指導を実施し、外国籍の事業者にも分かりやすく条例の趣旨や規制内容を伝える工夫を行った。

(2)条例の検討経緯

 千葉県内ではヤードが急増し、2023年度末時点で332か所が確認された。これらのヤードでは、高積みなどの不適切な保管や、重機による破砕などが行われ、崩落や火災、騒音、振動、油汚染、悪臭など周辺環境への悪影響が生じていることが明らかになった。また、ヤードについては、周辺住民からの苦情や不安の声も増加していた。

 

 しかしながら、これらの問題に対して、既存の法令は、金属スクラップ等の保管や保管に伴う作業を直接規制するものではないことなどから、ヤードに着目した規制の検討が必要と考え、実態調査、市町村及び有識者からの意見聴取を行い、対策を検討した。

(3)条例制定の背景

 実態調査の結果、中国の廃プラスチック等の輸入規制強化(2017年以降)の影響により、日本国内でのヤード数が増加したことがわかった。また、千葉県は、全国でヤードの数が最も多い都道府県であることが明らかになった。首都圏に近く、原材料の入手や売却が容易な立地条件、土地価格の安さなどから千葉県内に多くのヤードが設置されているものと考えられる。さらに、外国籍の事業者の進出も目立ち、言語や文化の違いによる行政指導の難しさも課題となっている。

(4)条例の内容

 条例で規制対象とする事業は、「特定再生資源屋外保管業」(屋外において、特定再生資源を積み上げる作業の用に供することができる機械を使用して特定再生資源の保管をする事業)である。

規制対象物である「特定再生資源」とは、次のいずれかの物品(廃棄物、有害使用済機器、特定自動車部品並びに放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)である。

  • 使用を終了し、収集された金属又はプラスチックが使用されている製品
  • 製品の製造、加工等の人の活動に伴い副次的に得られた金属又はプラスチック

 

 主な規制手段は以下のとおりである。

  • 特定再生資源屋外保管業を行う場合には県の許可が必要(許可制)
  • 保管物の高さや構造基準の設定
  • 火災・油流出・騒音・振動・悪臭等への対策義務
  • 住民への事前周知義務(同意までは求めていない)
  • 現場責任者の設置義務
  • 違反時の命令・許可取消・罰則規定

(5)県内の金属スクラップヤード等の状況

 条例施行後、許可申請や基準適合のための現地確認、指導を進めている。2025年9月時点で、県条例の規制対象437か所のうち281か所から提出された許可申請書の審査を行っている。

 一方で、基準適合が難しい事業場や、事業継続を断念するケースも見られる。また、早朝や深夜の作業、無許可での屋外での重機使用、油や汚水の流出など、条例違反や生活環境への影響が懸念される事例も依然として存在する。

 県は立入検査を実施し、条例の基準遵守等を指導するとともに、無許可営業が疑われるヤードに対しては、事業の即時停止などを文書などにより厳正に指導している。特に外国籍の事業者に対しては、通訳の活用や外国語で作成したリーフレットを配布するなどして、対応している。

 千葉県の金属スクラップヤード等規制条例は、全国の都道府県で初の条例として注目されている。ヤードの適正管理は、資源循環の推進や県民生活の安全などを確保するために重要である。

PAGETOP