2026年新春号表紙

議事1 事例発表

不法投棄・不適正処理事案に係る支障除去等事業の取り組み等  

(公財)産業廃棄物処理事業振興財団 適正処理対策部長 藤田 正実

 

 事例発表に先立ち、財団藤田より、「不法投棄・不適正処理事案に係る支障除去等事業の取り組み等」について、不法投棄等の可能性がある危険な盛土の支障除去等の支援についての資料提供及び近年の事例発表の概要等を紹介し、行政が不法投棄等の支障除去事業を実施する際の注意事項等を説明した。

 

 続いて、「茨城県6市町事案(低濃度PCB)の対応について」と題して、茨城県県民生活環境部廃棄物規制課不法投棄対策室 係長 森 龍也 様より、また、「茨城県における石岡市小見事案への対応について」と題して同室 主任 根岸 慶輔 様より事例発表を行って頂いた。

【事例発表】「茨城県6市町事案(低濃度PCB)の対応について」

茨城県県民生活環境部廃棄物規制課不法投棄対策室  係長 森 龍也 様

1 事案の概要

森 龍也 様 森 龍也 様

 事案の発生場所は、茨城県北部の4市2町にまたがる21か所で、図1に示すとおりである。また、図2は、発生時の不法投棄の状況で、投棄物は廃プラスチック類(汚泥や金属との混合物)でPCB廃棄物該当性の判断基準を超過しており、その投棄量は約425.5㎥である。また、本事案はゲリラ的投棄事案であり、行為者が夜間に山間部の道路や空地にシュレッダーダストと呼ばれる廃プラスチック類を投棄するという特徴がある。また、同事案については当県以外にも栃木県や福島県でも発生し、3県に及ぶ広域事案である。

図1 茨城県6市町事案不法投棄事案の位置 図1 茨城県6市町事案不法投棄事案の位置

図2 不法投棄の状況 図2 不法投棄の状況

2 行為者等について

 行為者等の状況は図3に示すとおりであり、行為者は解体業を営んでいたM.M個人1名であり、その他、共犯者の疑いのブローカー1名及び排出事業者として疑いのある3者となっているが、警察の捜査をもってしても共犯者及び排出事業者として特定はできず、現時点で疑いに留まっている。

図3 行為者等の状況 図3 行為者等の状況

3 行政の対応

 行為者等への行政の対応状況は、図4から図9に示すとおりである。

 行為者については、令和元年10月の事案認知から、関係機関と情報共有を行い、連携して夜間警戒等を実施したが、令和3年2月の栃木県警による行為者逮捕を受け、同年9月に茨城県警も行為者を通常逮捕した。行為者逮捕後、申立書の聴取や弁明通知書の手交を踏まえ、令和5年11月に行為者に対して措置命令書を手交した。令和6年3月の行為者釈放を受けて面接、措置命令履行を指導したが、同年7月に命令の不履行を確認し、面接及び不履行にかかる顛末書を徴取した。令和6年10月から令和7年2月の間に行為者によるシュレッダーダストのフレコン詰めが3回、合計25袋実施されたが、21ヶ所の内の1ヶ所のみであった。

 共犯者に対する行政の対応状況は、令和6年5月に行為者に共犯者等に関する情報を再聴取し、その供述をもとに、ブローカーに聞き取りを実施したが関与等を一切語らなかったため、同年7月にブローカーに対し、廃棄物処理法18条に基づく報告徴収を実施した。その回答は本件関与を否定したものであった。

したがって、現時点でブローカーを共犯者と特定できず、疑いに留まっている。

 排出事業者に対する行政の対応状況は、行為者の供述等から3社に対し、聞き取り調査や18条報告徴収、立入検査等を実施したが、現時点で排出事業者の特定には至っていない。また、図6に示すように当該廃棄物の不適正処理に関し、行為者が逮捕され、行政が調査を開始したことを察知した排出事業者が、当初から適正処理を行っていたかのように実際の処理方法を変更したと推測されるが、事実認定ができなかった。

図4 行政の対応(行為者) 図4 行政の対応(行為者)

図5 行政の対応(共犯者) 図5 行政の対応(共犯者)

図6 行為者逮捕前後の排出事業者の対処状況 図6 行為者逮捕前後の排出事業者の対処状況

図7 行政の対応(排出事業者①) 図7 行政の対応(排出事業者①)

図8 行政の対応(排出事業者②) 図8 行政の対応(排出事業者②)

図9 行政の対応(排出事業者③) 図9 行政の対応(排出事業者③)

4 PCB関連調査

 本事案と同様の不法投棄が行われた福島県から投棄された廃棄物に低濃度PCBが含有しているとの情報提供により、本件においても令和3年12月1日に投棄物に対するPCB含有試験を実施した。その結果、21ヶ所から低濃度PCBが検出された。含有量の最大値は25mg/kg、最小値は1.5mg/kgであった。

 これらの結果を受け、個人所有(第三者)の土地の廃棄物に対し、ブルーシートによる覆蓋を実施するとともに、市町村や土木事務所等の土地所有者等に対し、ブルーシートによる覆蓋の協力依頼を行い、応急的な飛散防止対策を講じた。

 なお、ブルーシートは、四半期に1回程度の点検を行い、随時必要な補修を実施している。

図10 PCB関連の調査内容及び対応 図10 PCB関連の調査内容及び対応

5 今後の対応

 本事案における今後の対応としては、図11に示すとおり、行為者に対する指導の継続、土地所有者等に対する協力依頼、本県による行政代執行及び代執行費用の求償となっている。

 行為者については、措置命令の履行に関する継続指導を実施した結果、1ヶ所において投棄物をフレコンバッグ25袋に詰める作業を実施させたが、今後も継続して撤去指導等を実施するとともに、PCB含有試験費用の求償も実施する。また、土地所有者等に対しては、本事案の行為者が同様に不法投棄したPCB含有のないシュレッダーダスト等があるため、同廃棄物の撤去処分に関する協力を求める。なお、現在、PCB廃棄物処理基金助成金を活用した代執行支援事業の支援要請を申請中であり、助成金を活用した行政代執行を実施した後は、行為者等への費用求償の他、関与者の調査を継続し、新たな関与者が判明した場合は費用求償を行う。

図11 今後の対応 図11 今後の対応

6 再発防止策

 本事案を受けての再発防止策については、図12に示すとおりであり、機動力の強化、発見・通報体制の拡充、監視体制の強化、解体現場への立入検査及び警察との連携を検討及び実施している。

 初動体制の強化として、警察OB等で構成された「不法投棄等機動調査員」10名を配置し、機動力を強化しており、不法投棄通報アプリ「ピリカ」の導入も実施している。このほか、事案解決につながる有益情報を対象とした「報奨金制度」を創設しているが、報奨金制度は適用条件が厳しく、実施例が少ないといった運用上の課題が浮かび上がってきている。
 また、監視体制の強化として、パトロールだけでは補えない監視に関して、Webカメラやアニマルカメラを活用した監視も実施しており、県内における不法投棄の傾向を考慮した「建設系廃棄物の不法投棄」に対応するための建設リサイクル法第10条の届出対象のみならず、対象外の小規模解体現場にも立入検査を実施し、適正処理の啓発を実施するとともに、警察との連携として、併任警察官が県警交通部・生活安全部と連携し、高速道路や一般道において、早朝などにも過積載車両取締を実施している。

図12 再発防止策 図12 再発防止策

7 教訓

 本事案を受けての教訓としては、図13に示すとおり、積極的な行政指導、排出事業者に対する早期調査、関係機関との連携強化があげられる。

 廃棄物の捜査員及び県職員として実施した職務を通して感じた教訓としては、不法投棄等の行為の現認ができなくても、廃棄物を運搬している事業者等に対する積極的な聞き取り等の行政指導がこのような事案の発生抑止に有効である。

 また、関与が疑われる排出事業者に対しては、早期の調査が必要である。本事案は3県警察の合同捜査と並行して調査等を実施したが、ブローカーや排出事業者等が結託し、事実を捻じ曲げた実態を捏造した疑いがあるが、結果として行政の調査でも警察の捜査においても事実認定ができなかったため、このようなことにならないよう早期に事実認定ができるような調査が必要と感じている。

関係機関との連携強化も重要である。警察の捜査が行われる場合でも、行政は法第19条の立入検査など行政独自の権限を駆使して調査を行って内部の状況の把握に努め、その後警察の捜査で証拠を固めて関係者への対応をとるなど、事案の認知当初から関係機関がまとまって対処していくことが事案拡大を防ぐ近道だと感じている。

図13 教訓 図13 教訓

【事例発表】「茨城県における石岡市小見事案への対応について」

茨城県県民生活環境部廃棄物規制課不法投棄対策室  主任 根岸 慶輔 様

1 事案の概要

根岸 慶輔 様 根岸 慶輔 様

 事案の発生場所は、図1に示すとおり、石岡市小見という地区で、敷地が広大なうえ、周囲に人家が少ないほか、高速道路の土浦北インターを使用してのアクセスが良いという特徴がある。その場所に令和2年9月から令和3年11月までの約1年間に、フレコンバッグに入った廃プラスチック類約15,000㎥が堆積された。
 行為者は、通称 G.M、本名Y.Yという中国人が主犯であり、HというG.Mの知人(友人)もかかわっていた。当初から、G.Mらは、「フレコンバッグに入っているのはプラスチック類であり、リサイクルするための原料(有価物)だ。これを加工して海外に売る。」と主張して堆積を開始した。
 県も堆積を認知してからは、立入や18条報告を実施したが、結果的にその時点では廃棄物と認定しなかったという経緯があった。
 ただ、その際もG.Mに対して、今後リサイクルが進まず、保管・堆積が続く場合、廃棄物認定を行い、廃掃法で処分する可能性があることを伝えた。
 しかし、堆積は進む一方であり、結果的に約15,000㎥もの量を堆積されてしまったという事案である。
 その後、県も廃棄物認定を行い、廃掃法による指導を開始した。
 図2に示すとおり、事案地の入口から撮影した15,000㎥堆積されてしまった後の様子で、かなりの高さになっていることが分かる。現場内の様子は、細かく破砕されたPVCがほとんどで、PVC以外のプラスチックもあり、敷地全体にフレコンバッグが置かれた状態であった。

図1 茨城県石岡市事案不法投棄事案の位置   図1 茨城県石岡市事案不法投棄事案の位置  

図2 事案地の状況(R4年度当時) 図2 事案地の状況(R4年度当時)

 廃棄物認定後は、排出事業者へ責任追及を行うため、排出事業者への調査も開始することとした。 

 排出事業者は、G.Mらに対する18条報告や作業員からの聴取等から15社が排出事業者の疑いがあると判断した。

 その15社は、G.Mが中国人ということもあり、15社全てが中国人の経営する金属スクラップ業を営む事業者であった。

 現場にあったプラスチック類の多くは、電線被覆(PVC)であり、金属部分が取り除かれた後のものであったので、金属スクラップ業の事業者が排出事業者として関わっているということは大いに疑われる状況であった。

 全ての事業者に立入した結果、疑わしい取引記録(G.Mにだけなぜか現金で払っている帳簿など)はあったものの、それをもって直ちに、この事案の排出事業者、つまりここから出たものが石岡市小見に持ち込まれたと断定することは難しく、また、18条報告も実施したが、本件に関与したとは結論づけることはできず、これら15社を排出事業者と断定することはできなかった。

 また、G.Mの供述や18条報告だけでなく、堆積現場には、企業名が特定できる廃棄物、ペットボトルラベルの束、200本近くの野球の応援バット等もごく少量あったので、その廃棄物から排出元の事業者を明らかにできないか、あるいは、なにか手がかりが得られないか調査を実施したが、結果的には排出事業者を特定することはできなかった。

 この事案の廃棄物の流れは図3に示すとおりの流れになると考えている。

 排出事業者が、不要になったPVCなどの廃プラスチックの処理を、G.Mに委託し、Hが作業員を集めて、石岡市小見で堆積を始めたという流れである。


 排出事業者の立場からすると、廃棄物として処分場で処理するよりもG.Mに処理を頼むほうが安く済むという点でG.Mを利用したと考えられる。G.Mにおいても、処理費用をもらって、石岡に持ってきて置くだけなので、交通費しかかからないから儲かるという点で双方にとってWinWinだったと考えられる

図3 排出事業者(疑い)の状況   図3 排出事業者(疑い)の状況  

図4生活環境保全上の支障の状況 図4生活環境保全上の支障の状況

 現場にかなりの量の廃プラスチックが堆積されてしまった結果、図4に示すとおり、3つの生活環境保全上の支障があると判断できるくらいの状況になった。この県道は、通勤や通学にも使われており、もし崩落した場合、人の命にも関わるような本当に危険な状況であった。

 このような状況を受けて、県は措置命令に向けて手続きを進めていくことにした。

 これまでの対応をまとめると、令和2年9月に堆積が開始され、最初は規模も小さかったためか、通報もなく、認知できなかった。12月に通報によって県も認知し、その後、立入や18条報告を実施した。

 その結果、ここが大きな誤りであったが、当時は、廃プラスチック類を取り巻く情勢(中国の輸入規制やバーゼル条約)を踏まえたG.Mの主張や、18条報告で提出された取引書類等から、廃プラスチックを有価物と認定してしまった。有価物認定後もリサイクルされることはなく、G.Mが主張していたリサイクル計画に進展が見られないことから、この堆積物を廃棄物と認定した。

 前述のとおり、生活環境保全上の支障があったので、措置命令を発出し、措置命令については、大きく3つに分けて、段階的に対応していくこととした。

 図6に示すとおり、Aブロック、BブロックをH、CブロックをG.Mを対象として措置命令をかけた。

 A、B、Cブロックは概念上のものであって、具体的にこの範囲はA,この範囲はBというものではなく、

 一番手前の200袋をAブロック、その奥の680袋をBブロック、それ以外の約15,000㎥をCブロックと整理した。

 これは、2人の18条報告の回答や供述から、「手前の880袋はHがおいた。そのほかはG.M」と2人とも認めていたことからこのように整理した。

 令和4年8月にHに対して200袋撤去の措置命令を発出し、同年9月にH自身が撤去を完了させた。

 その後、Bブロックに関し、令和5年2月にHに措置命令を発出した。少し期間が空いており、本当はもっと早く命令の発出を試みたが、Hに連絡が通じないうえ、どこに住んでいるか分からない状況が続いていて、調査を重ねて居所を特定し、そこに張り込んでやっと発出したという経緯がある。

 ただし、Bブロックは、H自身が、「俺は絶対にやらない。命令を受けてもやらない。」と何度も主張していて、「措置を講じないとする意思を明確に表示している」ことから、法第19条の8第1項前段の行政代執行については、同条同項第1号において、「講ずる見込みがない」として、行政代執行に着手した。Bブロックの行政代執行は、令和5年3月下旬に開始し、同年4月に終了した。
 残ったCブロックの行政代執行が、財団の支援により進めた行政代執行である

図5 事案の主な経緯 図5 事案の主な経緯

 図6 行政処分の進め方の方針  図6 行政処分の進め方の方針

2 行政代執行の実施

 行政代執行の内容は、図7に示すとおり、廃プラスチック類の撤去、もう一つは、既存の囲いの撤去を実施した。廃プラスチック類の撤去以外に、既存の囲いの撤去を実施した理由は、廃プラの重みのせいで、県道側に囲いが傾いていることや、囲いの一部が欠けていて今にも壊れそうであり、通行人や通行する車に危害を与えかねないこともあり、囲いも撤去し、約半年かけて、敷地内にある産業廃棄物の全量を撤去した。

 ただ、廃棄物の量は、発注した時よりも多く、これは、月日の経過によって圧縮されていた廃棄物が、撤去の際の積み込みを行う過程で圧縮が解けたためと県では判断している。

 これから、行政代執行を実施する予定の自治体におかれては、数量が増える可能性があることは考慮いただきたい。これらの結果、行政代執行費用は4億7百万円、そのうちの7割を財団の基金より支援を受けた。

 なお、今回の行政代執行は一般競争入札の結果、JV(共同企業体)に委託することとなったが、JVであったからこそ、半年間で実施できたのだと考えている。

 行政代執行の実施については、庁内での合意をとれていたものの、事業費がかなりの額になるので、削減できないかということを検討した。

 その際に、図8に示すように、今回投棄されたものは廃プラスチック類であること、周辺の水質の検査をしても有害物質は出ていないことから、「この全てを片づける必要はないんじゃないか。」、「隣地に落ちないようにだけすればいいんじゃないか。」という意見もあった。

 そのため、全量撤去のほか、一部撤去のうえ残置のどちらで実施するかを比較検討した。その検討の際には、安定した形で残すにはどの程度残して、どのような形で残せばいいのか、課内だけで結論付けるのは厳しいと感じ、土木コンサルにも協力を依頼して残置する際の費用の算出や参考意見を受けた。
 検討の結果、全量撤去の方が、今回の案件においては事業費が安いということ、残置の場合は工程が煩雑であることから慎重な判断が必要であること、永続的にコストがかかる等の意見を受け、全量撤去を選択した

図7 行政代執行の概要 図7 行政代執行の概要

図8 行政代執行実施の際の考慮点 図8 行政代執行実施の際の考慮点

こうして、図9に示すとおり、全量撤去の行政代執行を実施し、原状回復ができた。

図9 行政代執行の前後の状況 図9 行政代執行の前後の状況

3 行政代執行費用の求償等について

 行政代執行費用の求償については、他の自治体と流れは同じである。

 まず、廃掃法や行政代執行法に基づき、納付命令を発出し、支払われない場合、地方自治法に基づき督促状を発行し、それでも支払われない場合、財産調査を開始する。

 事案地はG.Mが所有者であることは把握していたため、土地を差押えた。預金口座等は現在も調査中で、発見次第、差押を行っていく予定である。

 G.Mについては、措置命令違反で刑事告発しており、令和7年8月5日、逮捕となった。

図10 行政代執行費用の求償等の対応状況 図10 行政代執行費用の求償等の対応状況

4 本事案の総括

 本事案における教訓は、図11及び図12に示すとおり、県において廃プラスチック類の堆積が行われる事案が初めてということもあり、かなり対応が後手に回ってしまったと感じている。

 その中でも、最大の失敗が、有価物認定であったと感じている。確かに「中国が輸入を規制するようになったことや、バーゼル条約もあるから、原料を日本で加工したうえで中国等に輸出する。」とG.Mは主張していたので、G.Mの言うことも、それだけ聞くと当時は一理あるなという状況ではあったと感じる。

 ただ、G.Mが施設を保有している状況もないためリサイクルは不可能であること、そもそもPVCのリサイクルは難しいということ、どのような機械を導入するのか分からないという状況の中で、最終的に有価物と判断してしまった。結果的にこの有価物認定が堆積を後押しすることとなったので、深く反省し、廃棄物該当性の判断はかなり慎重になるべきだと再認識させられる事案であった。

 少しでも疑問点がある場合は、廃掃法に詳しい弁護士などの専門家に助言を求めるよう体制を改めたところである。

 有価物判断をしてしまった理由としては、廃プラ事案が初であったということもあり、職員の知識や経験が不足していたうえに、G.Mは、普段職員が接している行為者とは違い、腰が低く、指導に従うそぶりを見せるうえに口がうまいため、G.Mの言うことを信用してしまったということが少なからずある。

 また、関係部署、市、県の出先、本庁、県警の関係機関において連携は不足しており、出先単体で動いたり、本庁と出先の情報交換が不足していたことも反省点としてある。そのため、事案の初期段階から、関係部署が連携して、事案の拡大を防ぐよう、体制を改めたところである。

図11 本事案における教訓(効果的な行政対応) 図11 本事案における教訓(効果的な行政対応)

 図12 本事案における教訓(組織的な対応)  図12 本事案における教訓(組織的な対応)

 本事案における排出事業者(疑い)の事業所(上段)の状況を図13に示す写真のとおりである。下段のようなPVCが現場には多くあった。

図13 本事案における教訓(排出事業者(疑い)事業所 図13 本事案における教訓(排出事業者(疑い)事業所

5 不法投棄等の未然防止

 茨城県は、年間約100件前後不法投棄が発生しており、不法投棄が多い県である。

 毎年、環境省に報告している10t以上の不法投棄の件数も15件前後と、毎年上位に名を連ねていることから不法投棄の防止は茨城県において重要な課題となっている。

 まず、図14に示すとおり、石岡市の事案で教訓を得たように、廃棄物該当性を慎重に判断するほか、条例を制定し、有価物だとしても堆積には許可を必要とする体制に改めている。

 また、図15に示すとおり、事案の初期から、市、県、警察が連携するとともに事案地を物理的に封鎖することで、事案の拡大を防止している。

 これについては、各事案で違うが、現場入口をガードレールで塞いだり、単管パイプで柵を作ったり、場合によっては、道路に狭窄、閉鎖を行っている。

 現在、県警OBを主力とする機動調査員や民間警備会社への委託により、24時間体制で県内全域を見回ることとしている。

県内の不法投棄が多いことは述べたが、県内の不法投棄の約7割が建設系廃棄物ということもあり、解体現場への立入・指導を強化している。この立入検査は届出の有無を問わず実施している。

 あわせて、不法投棄通報アプリの導入や報奨金制度の創設により、県民の方が通報しやすい体制を整備している。

 最後に、図16に示すとおり、本県では、本庁だけでWEBカメラを5台、移動式カメラ(アニマルカメラ)を20台、固定式カメラを31台運用し、監視している。WEBカメラは、24時間稼働しており、県庁の執務室からの遠隔操作も可能なものである。アニマルカメラは電池式で、電源不要であることから、容易に設置が可能であることから、積極的にとりつけ、車両の把握等に重宝している。また、不足するごとに購入しているところである。

ドローンも積極的に活用し、高い塀に囲まれて地上から確認できないヤードなども、上空から撮影することで、現場の状況を把握するとともに、廃棄物量を測定している。


このほか、他県でも同様と思われるが、外国人グループなどによる悪質な不法投棄が相次いでいるので、県警とも連携を密にして、事案に対応している。

図14 不法投棄の未然防止① 図14 不法投棄の未然防止①

図15 不法投棄の未然防止②  図15 不法投棄の未然防止② 

図16 不法投棄の 未然防止③ 図16 不法投棄の 未然防止③

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