2026年新春号表紙

議事2 低濃度PCB廃棄物の適正処理について

(公財)産業廃棄物処理事業振興財団 技術部 シニアエキスパート 長田 容

 

 低濃度PCB廃棄物の処分期間はPCB特措法において令和9年3月31日までとされています。会議では残された期間内に低濃度PCB廃棄物を確実に処分するため、調査対象となる廃棄物の種類及びPCB該当性判断方法、該当するものが判明した場合の行政機関への届出方法、処分方法等について説明するとともに、今年度から開始された中小事業者向けの助成金制度の概要と申請状況について説明しました。

1.低濃度PCB該当性判断方法

 低濃度廃棄物には変圧器等の電気機器に充填されている絶縁油にが意図せず混入して基準の0.5mg/kgを超えて汚染されているものがあります。絶縁油の汚染は図1に示すように1990年まで行われていた廃絶縁油の再生工程で生じたものとされています。そのため、電気機器の低濃度汚染の可能性は製造年からある程度判断できます。一部の例外と留意点を記した低濃度の該当性判断フローを図2に示します。

 

図1 微量PCB汚染電気機器等の製造年別検出率 図1 微量PCB汚染電気機器等の製造年別検出率

図2 低濃度PCBの該当性判断フロー 図2 低濃度PCBの該当性判断フロー

 また、PCBを扱う施設等から排出される各種汚染物やPCBを添加した塗料等の製品には濃度が0.5mg/kgを超えて含有されているものがありこれらも低濃度廃棄物となります。ただし濃度に上限があり、紙くず・木くず、廃プラスチック類、汚泥等の可燃性の汚染物は10%以下のものが、またその他の汚染物は0.5%以下のものが対象とされています。

 

2.行政機関への届出

 調査の結果、低濃度PCBに該当することが判明した場合はPCB特措法の規定により管轄の都道府県又は政令市に当年度分を翌年度の6月末までに規定の様式に記入して届出する必要があります。最近の届出情報を集計して解析したところPCB濃度が不明のものが半数近く届出されていることが分かりました。そのため、令和6年度分の届出からPCB濃度の記入や未分析の場合はその予定等を記入して届出することになりました。なお、使用中の自家用電気工作物にPCB汚染が判明した場合は電気事業法での届出が必要となります。

3.処分方法

 低濃度PCB廃棄物は自ら処分するか、または無害処理事業者に委託して処分することになります。無害化処理施設には図3に示すように環境大臣による認定施設と都道府県の許可施設があり、現在26施設で処理が行われています。

図3 焼却方式による低濃度PCB廃棄物の無害化処理施設と処理対象物 図3 焼却方式による低濃度PCB廃棄物の無害化処理施設と処理対象物

 

 また、処理施設に運び入れることが困難な大型の変圧器等では、設置された場所で洗浄処理することも行われており、図4に示すように無害化処理認定事業者によってこれまで全国で200を超える場所で処理が行われています。

図4 洗浄方式による低濃度PCB廃棄物の無害化処理事業者と処理実績 図4 洗浄方式による低濃度PCB廃棄物の無害化処理事業者と処理実績

4.中小事業者向け助成金制度

 中小事業者や個人を対象にPCB濃度の測定や低濃度PCB廃棄物の処分等の費用を補助する制度はこれまで一部の自治体で行われてきましたが、今年度から環境省による助成金制度が創設され、分析、収集・運搬、漏えい防止措置及び処分に要する経費を対象にその1/2を限度に助成されることになり処理促進に役立てられています。当財団はその事務を請け負っており、約半年が経過した令和7年10月6日時点で4,355件の申請を受け付け、4,054件の申請に対して総額1億346万円を交付しました。

 

 PCB特措法の処分期間は廃棄物となったものが対象であり、使用中のものは対象外となります。現在使用中のPCB汚染機器等はいずれ廃止され廃棄物になるものであるため、現在国ではこれらの扱いについて届出方法を含めた新たな方針を示すべく検討が進められています。

 過去の負の遺産ともいえるPCB廃棄物の処分を適正かつ迅速に行っていくため、当財団では今後も国の施策に協力していくことにしています。

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