廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律/ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律について
1.はじめに
環境省 環境再生・資源循環局
廃棄物規制担当参事官
大川 正人 氏
本稿では、両法律案の国会提出に至った背景及び両法律の概要を紹介する。
2.廃掃法等改正法について
2.1 廃掃法等改正法の背景
世界で資源の獲得競争が激化し、一次資源(天然資源)のみならず、二次資源(再生資源)の獲得競争の時代に突入している中、我が国の基幹産業が必要とする質と量の再生材を安定供給するための「再生資源供給サプライチェーンの強靱化」の実現が急務である。こうした中で、使用済みの金属・プラスチック物品を収集し、適切な加工を行ったものを製品製造工程に供給している事業場、いわゆるスクラップヤードは、資源循環の輪において重要な役割を担っている。しかしながら、近年、一部のスクラップヤードにおいて、騒音、水質汚濁、火災等の生活環境保全上の支障が報告されている。こうした状況を是正し、良好な生活環境の保全と公正な競争環境の整備を行うことが必要となっている。
また、災害廃棄物を適正、円滑かつ迅速に処理することは、被災者の生活環境を守り、公衆衛生の悪化を防止することに加え、被災地の速やかな復旧・復興のためにも重要である。令和6年能登半島地震等、最近の災害対応において得られた教訓等を踏まえ、平時からの備えと地方公共団体への支援体制の強化が必要となっている。
以上のような状況を踏まえ、令和7年2月から令和8年3月にかけて開催された、中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度小委員会において必要な制度的措置について審議され、令和8年4月7日に中央環境審議会会長から環境大臣に対して「今後の廃棄物処理制度のあり方について」が意見具申された。
これらを受けて、政府は、同年4月10日、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、第221回国会に提出、国会審議を経て、同年6月12日の参議院本会議において可決・成立した。
2.2 廃掃法等改正法の概要
2.2.1 スクラップヤードの規制強化
(1)要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管又は要適正再生使用済金属・プラスチック物品の再生及び当該再生のために行う保管に係る許可制
イ 有害使用済機器保管等届出制度を廃止する。
ロ 要適正保管使用済金属・プラスチック物品(使用を終了し、収集された物品で、その全部又は一部が金属又はプラスチックから成るものであって、適正でない保管(譲渡のためのものに限る。)が行われた場合には人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるため、廃棄物の適正な保管と生活環境の保全上同等の保管を要するもの)の保管又は要適正再生使用済金属・プラスチック物品(使用を終了し、収集された物品で、その全部又は一部が金属又はプラスチックから成るものであって、適正でない再生及び当該再生のために行う保管が行われた場合には人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるため、廃棄物の適正な再生及び保管と生活環境の保全上同等の再生及び当該再生のために行う保管を要するもの)の再生及び当該再生のために行う保管を業として行おうとする者は都道府県知事の許可を受けなければならないものとし、政令で定める基準の遵守等を義務付けるものとする。
ハ ロの許可を受けた事業者に対する事業停止命令、許可の取消し等の規定を整備する。
ニ 現行廃掃法に基づく許可業者や資源有効利用促進法、自動車サイクル法、小型家電リサイクル法、プラスチック資源循環法、再資源化事業等高度化法の許認可事業者は、ロの許可を受けないで、要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管又は要適正再生使用済金属・プラスチック物品の再生及び当該再生のために行う保管を業として行うことができるものとする。
(2)特定要適正保管使用済金属・プラスチック物品及び特定要適正再生使用済金属・プラスチック物品に係る輸出確認
イ 国内において収集された要適正保管使用済金属・プラスチック物品であって、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第二条第一項に規定する特定有害廃棄物等に該当するものを「特定要適正保管使用済金属・プラスチック物品」とし、その保管はなるべく国内において適正にされなければならないものとする。
ロ 国内において収集された要適正再生使用済金属・プラスチック物品であって、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律第二条第一項に規定する特定有害廃棄物等に該当するものを「特定要適正再生使用済金属・プラスチック物品」とし、その再生及び当該再生のために行う保管はなるべく国内において適正にされなければならないものとする。
ハ 特定要適正保管使用済金属・プラスチック物品又は特定要適正再生使用済金属・プラスチック物品を輸出しようとする者は、環境大臣の確認を受けなければならないものとする。
(3)報告徴収、立入検査、改善命令、措置命令等
(1)ロの許可を受けた事業者等、(2)ハの輸出しようとする者等に対する報告徴収、立入検査、改善命令、措置命令等の規定を整備する。
2.2.2 災害廃棄物の処理の推進
(1)災害廃棄物の処理に関する協定の締結
都道府県及び市町村は、非常災害廃棄物適正処理業者等との間において、非常災害廃棄物の処理に関する協定を締結するよう努めなければならないものとする。
(2)災害廃棄物処理に係る計画策定の義務化
市町村が定める一般廃棄物処理計画の記載事項に、非常災害時における一般廃棄物の適正な処理等に関する施策に関する事項を追加する。
(3)非常災害廃棄物の処理の再々委託
市町村から非常災害廃棄物の処理の委託を受けた者(非常災害廃棄物処理受託者等)が、当該処理を他人(非常災害廃棄物処理再受託者等)に再委託すること及び非常災害廃棄物処理再受託者等が当該処理を他人に再々委託することができるものとする。
(4)非常災害に係る一般廃棄物処理施設の設置の特例
非常災害廃棄物処理受託者等は、非常災害廃棄物の処分を行うため、生活環境の保全上の支障が生ずるおそれの少ない一般廃棄物処理施設を設置するためにその旨を都道府県知事に届け出る場合は、生活環境影響調査の結果を記載した書類の添付を省略することができるものとする。
(5)非常災害廃棄物最終処分場の指定
都道府県知事は、一般廃棄物の最終処分場等であって基準に適合すると認められるものの設置者を、その申請に基づき、非常災害廃棄物最終処分場の設置者として指定することができるものとし、当該設置者は、非常災害廃棄物の処分の委託を受けることを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、当該委託を受けなければならないものとする。
(6)専門支援機関への委託
国は、非常災害廃棄物の適正な処理の円滑かつ迅速な実施に関する情報及び技術的知識の市町村及び都道府県に対する提供並びに調査研究及び技術開発を推進するとともに、当該事務を中間貯蔵・環境安全事業株式会社その他の機関に委託することができるものとする。
(7)JESCOの事業の追加
中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(以下「JESCO法」という。)に定める中間貯蔵・環境安全事業株式会社(以下「JESCO」という。)の事業としてア及びイを追加する。(なお、PCB処理事業に係る改正については、3.2.4にて後述。)
ア 市町村又は都道府県に対し、非常災害廃棄物の処理の方策に関する提案、非常災害廃棄物の処理に関する知識を有する者の派遣その他の非常災害廃棄物の適正な処理の円滑かつ迅速な実施を図るために必要な援助を行うこと。
イ 国の委託を受けて、非常災害廃棄物の適正な処理の円滑かつ迅速な実施に関する情報及び技術的知識の市町村及び都道府県に対する提供並びに調査研究及び技術開発を行うこと。
2.2.3 施行期日
本法律のうち、スクラップヤードの規制強化については、公布の日から2年6か月を超えない範囲で政令で定める日に施行する。
災害廃棄物の処理の推進については、令和8年9月16日に施行した。
3.PCB特措法・JESCO法改正法について
3.1 PCB特措法・JESCO法改正法の背景
ポリ塩化ビフェニル(PCB)については、平成13年に制定したポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下「PCB特措法」という。)に基づき、処分の期限を定めて、PCB廃棄物の処理を推進してきた。高濃度PCB廃棄物は、JESCOの処理施設において、立地地域の関係者の皆様の御理解と御協力を得ながら処理を進め、令和8年3月に同社における処理事業を終了した。今後は、散発的に発見されることが見込まれる高濃度PCB廃棄物を適正に処分するための制度を構築する必要がある。
また、低濃度PCB廃棄物は、保管事業者に対して令和9年3月までの処分を義務付け、環境大臣が認定する無害化処理施設等において処理を進めてきた。低濃度PCB使用製品については、まだ使用中の製品も存在することから、これらの製品が処分期間後に廃棄される際に適正に処分される必要がある。
中央環境審議会循環型社会部会廃棄物処理制度小委員会においては、PCB特措法等についての必要な制度的措置についても審議され、令和8年4月7日に中央環境審議会会長から環境大臣に対して意見具申がなされた。
これらを受けて、政府は、同年4月10日、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法及び中間貯蔵・環境安全事業株式会社法の一部を改正する法律案」を閣議決定し、第221回国会に提出、国会審議を経て、同年6月12日の参議院本会議において可決・成立した。
3.2 PCB特措法・JESCO法改正法の概要
3.2.1 低濃度PCB使用製品の届出義務等
低濃度PCB使用製品を所有する事業者は、低濃度PCB使用製品の所有及び使用の状況、使用の場所、使用の終了の見込み等を都道府県知事に届出を行い、政令で定める基準に従い管理しなければならないものとする。
3.2.2 PCB廃棄物の処分期間等
届出をした低濃度PCB使用製品の使用を終了した事業者又は保管する廃棄物がPCB廃棄物であると判明した事業者は、その使用を終了したとき又は判明したときは、PCB廃棄物の保管の状況、保管の場所等を都道府県知事に届出を行った上で、低濃度PCB使用製品の使用を終了した日又は保管する廃棄物がPCB廃棄物であると判明した日から政令で定める期間が経過する日までにPCB廃棄物を自ら処分をし、又は他人に処分を委託しなければならないものとする。
なお、JESCOにおける高濃度PCB廃棄物の処理事業が終了したことを受けて、今後、散発的に発見されることが見込まれる高濃度PCB廃棄物については、廃掃法に基づく無害化処理認定制度に基づき、環境大臣による認定を受けた処理施設において処理を進めていく方針である。このため、令和8年8月20日、無害化処理に係る特例の対象となる廃棄物を定める告示及び無害化処理の内容等の基準等を定める告示の改正を公布・施行した。
3.2.3 都道府県等におけるPCB廃棄物処理計画の廃止
都道府県等におけるPCB廃棄物処理計画の策定義務等を廃止することとする。
3.2.4 JESCOの事業の見直し
JESCO法に定めるJESCOの事業の範囲から「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理を行うこと」を削る。
3.2.5 施行期日
本法律については、一部を除き、令和9年4月1日から施行する。


